• Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • Instagram
 

スタッフブログ | Staff Blog

【地域連携】むさしの学園小学校校長の青木先生と対談インタビューを行いました

自然な交わりの中で多様性に触れ、垣根なく自由に生きられる心を育む——
むさしの学園小学校とPAL国際保育園@東京外大が大切にしたい教育のあり方

多磨駅から歩いて3分、PAL国際保育園@東京外大(以下「PAL」という)から歩いて15分ほどの距離にある、むさしの学園小学校。1924年に開校した歴史のある学校で、野川公園にもほど近く、自然を大切にした教育を行っています。そんなむさしの学園小学校とPAL国際保育園@東京外大には、実は意外と共通点がたくさんあることが分かりました。両者が大切にしていること、共通点、今後の展望について、むさしの学園小学校校長の青木先生と、PAL施設長の杉田先生に対談形式でお話いただきました。

一人ひとりの個性に寄り添い、自然と言語や文化を学ぶ

むさしの学園の建学の精神は「自然」。時は大正時代、こどもを狭い校舎や校庭に押し込めず、豊かで伸びやかな空間で育てたい、という思いからスタートしました。

「むさしの学園らしい学習方法の一つが『個別』です。こどもたちが語彙を習得したり、文章を理解するために、読書経験はとても大切。ですが幼少期は特に、こども一人一人によって言語の状況は大きく異なります。当学園では一人一人に合わせ、完全個別進度学習を行い、教師が個別に読み書きの確認を行っています。一学年一クラスの少人数制だからこそ、一人一人への丁寧な寄り添いを大事にしています。」(青木先生)

型にはまらない、伸びやかな教育はPALにも共通しています。PALの特色の一つが国際色豊かな職員たち。職員の半数を日本人、もう半分をアメリカ、ウズベキスタン、アフガニスタンなど多様な国籍のメンバーが占めています。

「外国籍の先生が多いPALですが、『英語の学習』のような時間を設けているわけではなく、日常的な生活や遊びにおいて、日本人の先生は日本語で、外国籍の先生は英語で話しかけています。言語の習得段階で日本語以外の言葉に触れることにより、こどもたちは自然と違うコミュニケーションの方法や文化を学び、身につけることができます。」(杉田先生)

多国籍の先生や職員に囲まれ、緑豊かなキャンパスで伸び伸びと過ごすPALの園児たち。実は杉田先生自身がPALの母体である正和学園の系列幼稚園の卒園生です。

「私の出身である町田自然幼稚園は、その名の通り自然に囲まれた園です。幼児期にたくさん土に触れ、小山を駆け登り、木々のそよぎを聞いて過ごしたことが私にとってはとても心地よい原体験として残っています。こういう環境で私も児童教育に向き合いたいと、系列園に就職し、保育士として働くことに。その後、一時は現場を離れたこともあったのですが、縁あってここPALの立ち上げからまた現場に戻ってきました。」(杉田先生)

ここにも青木先生との共通点が。なんと青木先生も自身がむさしの学園の卒業生です。

「小学生時代、西武線に乗って多磨駅まで通いながら、電車から見える四季折々の風景をよく眺めていました。当時はまだ車内に冷房がなかったんですが、夏の暑さでさえ、季節を感じられるものとして楽しんでいたように記憶しています。そんな自然豊かな地域で、小学校という、感性や経験の多くを育む時間に携わってみたいと、むさしの学園で教員になることを選びました。」(青木先生)

老若男女、世代を超えてまちづくりに関わる府中の面白さ

お二人の口から語られる、「自然豊か」というキーワード。さらに府中エリアの魅力はそれだけではありません。

「府中市には、例えば子育てであれば行政と民間で一緒に行っている支援活動もあれば、さらに上の世代が行っている支援活動もある。外大や農工大があるので、大学生もまちづくりに積極的に参加している。そうした、老若男女、世代を超えてさまざまな背景を持つ人がまちづくりに関わっているのが府中市の面白さですね。」(杉田先生)

PALもそんな府中市の地域プレイヤーの一つとして、「地域に開かれた園」を掲げています。一方でむさしの学園は、私立小学校であることから市外から通う児童も多く、これまで地域との繋がりはあまりなかったそう。卒業生の保護者がたまたま第一回の「たまいまマルシェ」に関わっていたことから、第二回から参加するようになりました。

「これまではPALさんや近隣の学校、地域プレイヤーとの繋がりが欲しくてもなかなか主体的に行動することができずにいました。『たまいまマルシェ』のような場があることで、プレイヤー同士の繋がりが生まれ、関係性ができるので、とてもありがたい機会です。」(青木先生)

この繋がりを機に、今後は相互の園を行き来したいと両者は話します。

「園児にとって、小学校は卒園後に行く、すぐ近くの未来。学校見学というほど特別なイベントでなくとも、日頃のお散歩コースの一環としてお邪魔したり、図書館の本を見させていただいたりして、近い将来の姿をイメージしてもらいたいです。」(杉田先生)

「特別感なく、という点にとても同意します。時には大きなイベントも必要ですが、何かにこだわりすぎると続かなくなってしまう。PALさんとは歩いて行き来ができる距離感なので、日常の延長で交流することができれば嬉しいです。当学園では自然学習の一環でビオトープを作ったりしているので、PALの園児のみなさんに参加してもらえたら楽しそうですね。」(青木先生)

園児と関わることは小学生にとっても意味のある交流だと青木先生は話します。自分より年下の子と接することで、自然とお手伝いできるようになったり、小さい子と触れ合う時に気をつけるべきことを学べるからです。

「当学園には基本的に縦割りの活動がありません。先生側が指示してしまうと、こどもはその期待に応えようと振る舞ってしまうからです。それでは本来的な自主性は育まれにくいと私たちは考えています。必要なのは『場』を整えてあげること。例えば6年生と2年生の教室が隣り合っていることで、上級生は自然と下級生のサポートをするようになります。そうした場を生み出すためにも、徒歩圏内にあるPALさんとは今後いろんな取り組みができそうです。」(青木先生)

幼少期から異文化にたくさん触れ、世界を広げてほしい

PALとむさしの学園で行き来する日は遠くないかもしれません。最後に両者に今後挑戦してみたいことをお聞きしました。

「むさしの学園は少人数で、一人一人と丁寧に寄り添える反面、人数が少ないとどうしても世界が小さくまとまってしまうという課題もあります。そうした世界を広げるためにも、異なる年齢や異なる言語、異なる文化に触れる経験はとても大事。すぐ近くにあるアメリカンスクールとは従来から交流がありますし、PALや外大ともそうした関わりが増えていったら嬉しいです。府中市は自然も豊かだし、そこに集まる人もさまざまで豊か。そんな地域でこれからも多様な人と関わっていきたいです。」(青木先生)

「PALでは現在日本語と英語の二カ国語で児童と接していますが、PALにも外大にももっと多様な国籍の人が集まっているので、今後はもっと言語を増やしていきたいですね。日本語と英語以外の言語に触れることで、きっと、世界はさらに広いのだと知ってもらえるだろうと思っています。そうしてこどもたちが大きくなった時、垣根なく人と接することができ、世界で自由に生き抜ける力をつけてもらえたら。そのためには私自身もPALも、世界を狭めず、視野を広げていろんなチャレンジをし続けたいです。」(杉田先生)